臨床現場からみた生と死の諸相

シリーズ臨床死生学研究叢書4
編著者平山正実 編著
判型A5判
ページ数244 ページ
製本上製
発行日2013年04月
ISBN978-4-907113-03-2 C3311
定価4,400円(10%税込)
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内容紹介

本書は、臨床現場において生ずる医療的問題は勿論のこと、それに付随する日常生活の問題、医療構造に関する事柄、死の不安や悲しみの中にある人々の心理的苦悩や宗教的な問題など、生と死をめぐる諸問題を、多様な職種の専門家が、自らの知識、経験、技術、信念に基づいて、解明しようとする論文を収めている。また、第Ⅲ部に、東日本大震災で教え子を亡くした教員とその教え子の遺族が文通することによって、双方が「グリーフケア」とは何かということを学び合った心の軌跡を描いた論文を所収する。

編著者プロフィール

平山 正実(ひらやま・まさみ)
1938年生まれ。横浜市立大学医学部卒業。自治医科大学助教授(精神医学)、東洋英和女学院大学大学院教授(死生学、精神医学)を経て、現在、聖学院大学総合研究所・大学院(人間福祉学部こども心理学科)教授、医療法人財団シロアム会理事長。精神科医。医学博士、精神保健指定医。

白井 幸子(しらい・さちこ)
青山学院大卒。フルブライト交換留学生。アンドヴァー・ニュートン神学校卒業(宗教教育学修士)。エール大学神学部卒(神学修士)。米国U.C.C.教会牧師。臨床心理士。ヴァージニア州立大学病院チャプレン、「東京いのちの電話」主事。ルーテル学院大学大学院臨床心理学専攻主任・教授。臨床心理相談センター長。国立療養所多磨全生園でカウンセラーとして二十余年働く。東京医科大学病院でエイズ・カウンセリングに携わる。日本パストラルケア・カウンセリング協会会長、日本交流分析学会 常任理事、日本生命倫理学会評議員。(財)日本臨床心理士資格認定協会評議員。

船戸 正久(ふなと・まさひさ)
1950年生まれ。1974年奈良県立医科大学卒業、1981年米国ロードアイランド州ブラウン大学のリサーチフェローとして留学(新生児黄疸の研究)、1999年大阪市立大学学位(医学博士)取得(内容:脳室内出血(IVH)の瞬間とその臨床的誘因)。淀川キリスト教病院副院長、大阪大学医学部小児科臨床教授等を経て、2011年より大阪発達総合療育センター重症心身障害児施設フェニックス園長、2012年南大阪小児リハビリテーション病院院長。専門・研究分野は新生児学(新生児神経学)、発達神経学、臨床倫理学。

河 正子(かわ・まさこ)
1952年生まれ。1975年 東京大学医学部保健学科卒。2004年博士(保健学)。1990年より救世軍清瀬病院ホスピス緩和ケア病棟非常勤看護師。2008年NPO法人緩和ケアサポートグループ理事長。緩和ケアに関する相談の場、地域で暮らす療養者の交流・くつろぎの場を創生する試みを続けている。

黒鳥 偉作(くろとり・いさく)
1984年生まれ。自治医科大学医学部卒業。現在、神奈川県津久井赤十字病院内科医、日本キリスト教団戸塚教会補教師。

竹内 公一(たけうち・こういち)
1991年自治医科大学卒業後、東京都衛生局勤務。 都立大塚病院にて臨床研修後、93年城北福祉センター健康相談室、 94~96年小笠原村母島診療所勤務。 帰任後、自治医科大学大学院に入学。2000年大学院修了、博士(医学)。 自治医科大学解剖学講座助手、講師を務め、2007~11年ニューヨーク・アルバートアインシュタイン医科大学 (Department of Neuroscience)に留学。2012年より東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(専門職学位課程・公衆衛生大学院)在学。

尾形 妙子(おがた・たえこ)
奈良県立医科大学附属看護専門学校卒業。京都府内病院勤務を経て1992年より医療法人社団仙石病院(宮城県)勤務。2006年より仙石病院看護部長。 2011年3月の東日本大震災の津波で夫、長男、次女の3人を一度に亡くす。講演会などで被災者の現実を訴えている。

大西 奈保子(おおにし・なおこ)
1968年生まれ。2006年東洋英和女学院大学大学院博士後期課程修了・博士(人間科学)。神奈川県、東京都内病院勤務を経て、東北福祉大学健康科学部保健看護学科講師、東都医療大学ヒューマンケア学部看護学科准教授。2013年より帝京科学大学医療科学部看護学科准教授。看護師、専門は死生学、ターミナルケア。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

Ⅰ 臨床現場からみた生と死
緩和ケアにおける死の受容のために――ユダヤ・キリスト教の死生観・死後観を中心として (平山正実)
交流分析を末期医療の現場でどのように用いるか (白井幸子)
子どもの生と死――周産期医療からみえること (船戸正久)

Ⅱ 臨床知に学ぶ
緩和ケアをどのように進めるか――基本的ケアとスピリチュアルケアの力 (河 正子)
新約聖書の治癒物語を背景にしたスピリチュアルケアの実践 (黒鳥偉作)
増加する在宅医療のニーズへの対応――外来・入院・療養の三段構え構造の構築と発展 (竹内公一)

Ⅲ 東日本大震災からの再生に向けて
忘れない――死を見つめて生きる (尾形妙子)
東日本大震災とグリーフケア――教え子を亡くした悲しみと遺族ケア (大西奈保子)