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聖学院大学研究叢書
医療と福祉における市場の役割と限界:イギリスの経験と日本の課題
イデオロギーの対立が消滅して,グローバリゼーションが進行し,あらゆる場面で経済競争が激化している.医療・福祉などの社会保障の分野でも例外ではない.そのサービスの質と平等を確保しつつ,いかにそれらのシステムを効率化していけるかが各国で模索されている.本書は,この重要な主題を論じたものである.
社会科学
北朝鮮問題をどう解くか:東アジアの平和と民主主義のために
北朝鮮問題は,東アジアに大きな緊張と危機をもたらしている.六カ国協議のゆくえは,また拉致問題は.本書は元大韓民国統一部長官の康仁徳氏と元朝日新聞編集委員の小田川興氏を編者に,伊豆見元・李鍾元・和田春樹など,朝鮮半島問題の専門家各氏による論考を通してこの課題に取り組み,平和的解決の道筋を検討するものである.
外国歴史
イングランド国民のための第一弁護論および第二弁護論
イングランド革命期に国王チャールズ一世を処刑したイングランド国民に対して,フランスの学者,サルマシウスなど国王派は「王権神授説」を掲げ,非難した.ジョン・ミルトンは「国王といえど,暴君であれば国民に服従の義務がない」ことを主張し,弁護した.本書は,ミルトン研究者によってラテン語文献から翻訳され,また訳注,解説によって,その思想を現代において理解できるよう便宜が図られている.
社会科学
チャールズ・E・ガルスト:ミカドの国のアメリカ陸軍士官学校卒業生
米国ディサイプルス派の宣教師 C.E. ガルストはウエストポイント(陸軍士官学校)に学び軍人を志すが,キリスト教の宣教師として献身することを決意し1883 年(明治16 年)来日した.東北秋田の地でキリスト教の伝道に携わる一方,社会運動にも乗り出し,土地だけに課税すべきとする土地単税論を説き,単税太郎と称された.本書はガルストの夫人による彼の劇的な生涯の伝記である.
外国歴史
カルヴァンとカルヴァン主義者たち
宗教改革者カルヴァンの思想はヨーロッパ,イギリスなどにどのような影響を与えたのか.本書は,カルヴァンの影響がカルヴァン主義者たちによって変節されたとする最近のケンドールなどの研究に対してカルヴァンの著作に基づき批判し,カルヴァンの思想のイギリス・ピューリタンへの継承を跡づける.
キリスト教思想
アメリカ史のアイロニー
アメリカは20 世紀の半ば,突如として,国民的経験も精神的準備もないままに世界史的勢力として台頭し,世界史の中に踊り出た.この「大国」アメリカはどこに向かうべきか.本書は,原書が1952 年に出版されているが,世界史的「大国」アメリカの問題を「権力の腐敗」の問題として鋭く抉り出し,アメリカを自己認識と責任意識へと導こうとする,現代の問題をも照射するアメリカ論の新訳である.付録として巻末にニーバーの「ユーモアと信仰」を所収.
聖学院大学研究叢書
エラスムスとルター:一六世紀宗教改革の二つの道
自由意志の問題は,古代から中世,近代にかけて,アウグスティヌスとペラギウス,エラスムスとルター,ジェズイットとポール・ロワイヤルの思想家たち,さらにピエール・ベールとライプニッツなどの間で激烈な論争が繰り広げられた哲学と神学の重要主題であった.本書では自由意志と奴隷意志論争を焦点にルネサンスと宗教改革という二つの精神上の運動を述べる.
哲学・思想
ヴェーバー・トレルチ・イェリネック:ハイデルベルクにおけるアングロサクソン研究の伝統
ヨーロッパ近代の問題を理解する際に欠かすことのできない文献としてヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』,トレルチ『近代世界の成立におけるプロテスタンティズムの意義』,イェリネック『人権宣言論争』がある.それらは,分野やアプローチは異なるものの,アングロサクソン世界に展開したプロテスタンティズムの意義に注目している.本書は,この主題で開催された国際シンポジウムの記録を編集したものである.
哲学・思想
自由主義に先立つ自由
今日支配的な自由理解である「自由とは,政治体制とは関わりない個人的自由である」とする自由主義的理解に対して,17 世紀のイギリス革命において隆盛を極めたネオ・ローマ的自由理解,つまり他者の権力や意思に従属しない自由という理解を掘り起こし,その現代的意義を論ずる.現代における自由の理解に一石を投じた注目の書.
キリスト教思想
近代人の宿命とキリスト教:世俗化の人間学的考察
本書は,近代社会における宗教の衰退,あるいは宗教の個人化という「世俗化」現象を分析し,解明してきた宗教社会学の成果を批判的に吟味し,また現代の諸科学における「世俗化」の理解をとりあげながら,人間学的な観点から「世俗化」現象を考察する.宗教社会学・諸科学では欠落させてしまう人間の霊性に考察の光をあて,現代において人間的精神を回復させる宗教の意味を論じる.
キリスト教概説
思いやりの主イエスとともに:聖日講話集
本書は,我孫子無教会キリスト教集会の聖日講話として著者が述べたものの中から37 回分の講話を「十字架を負いて我に従え̶̶信仰について」,「敬愛のエートス̶̶無教会について」,「時の徴し̶̶宗教と政治について」,「思いやりの主イエスとともに―ヘブル書を学ぶ」に分類し編集されている.『近代思想史における内村鑑三』が示す精神の方向を受け継いだものである.
聖学院大学研究叢書
歴史と探求:レッシング・トレルチ・ニーバー
中間時における真理の多形性をとく「真理の愛好者」レッシング,「徹底的歴史性」の立場でキリスト教的真理の普遍妥当性と格闘したトレルチ,歴史の有意味性を弁証しつづけたニーバーのそれぞれの思想的連関を考察し,著者の神学的・宗教哲学的立場から偶然的な歴史的真理と必然的な規範的真理の関係性を明らかにする.投稿のページ送り